細胞がダメージを受ける理由はいくつかありますが、代表的な要因は2つです。
酸化とは物質が酸素と結びつく(化合する)ことです。りんごを切って、放置すると茶色くなるのは酸化のせいであり、鉄が錆びるのも酸化です。人は空気の酸素を使って、食べ物の栄養を燃やして活動するエネルギーを得ています。このとき、酸化によって、体にとってはよくない物質ができるのです。
糖化も体内での物質の化学反応の一種です。タンパク質や脂肪が糖分(グルコース)と反応して、糖化されたタンパク質になり、体内に蓄積されると、必要な細胞が死んでしまったり、機能が損なわれてしまいます。
このように人の体内で毎日起きている化学反応のせいで、細胞が傷ついていくのです。
細胞がダメージを受ける、もう1つの理由は細胞分裂するときに遺伝子のコピーミスが起きるからです。
人の受精卵から人間ができるのも、りんごの木にりんごがなるのも、細胞分裂するとき、DNA(遺伝子)を正しくコピーしているからです。ですが、コピーに失敗することがあります。細胞はコンピュータではなく、人間なのですから、これは避けられないことです。DNAの複製ミスによって生まれた細胞は、突然変異であり、正しい細胞ではないため、すぐに死んでしまうことが多いです。また、体内にあるべきではない細胞は、免疫システムがやっつけます。
体内の細胞はすべて分裂するわけではないのですが、分裂するときは、300万個の遺伝子をコピーしており、どうしても複製ミスが起きます。すると、ほかの細胞がダメージを受けてしまうのです。
ちなみに、遺伝子のコピーエラーがあるおかげで、人は進化してきました。一方で、がん細胞もこのコピーミスが原因で生まれるのです。
コピーミスで変な細胞ができたとき、免疫が弱っていると、困った細胞を駆逐することができません。だからこそ、免疫システムを常に最善に整えておくことは、健康であるためにとても大事なことなのです。
ビタミンC(アスコルビン酸)は、柑橘類、イチゴ、菜の花、赤ピーマンなどに多く含まれています。皮膚や腱、軟骨などの結合組織を構成する、コラーゲンというタンパク質の合成に不可欠なビタミンです。
このため、ビタミンCは皮膚や骨の健康を維持したり、傷を治したりするためには欠かせない成分です。
また人間は体内でビタミンCを生合成することができないため、必ず日々の食事から摂取しなければなりません。しかしビタミンCは壊れやすいことや代謝されやすいことなどから、本当に充分なビタミンCを食物から摂ろうとすると1日必要量の3倍もの量をとる必要があるといわれています。
また、ビタミンCは体内のあらゆるところに必要なビタミンなので、ほとんどが脳や肝臓などの臓器で使われてしまいます。さらに皮膚は面積が広いため、食事やサプリメントからでは、皮膚に充分な量のビタミンCを届けることはできません。
やはり肌には直接、ビタミンCを塗布することが一番効果的な方法です。
【2】ビタミンCとビタミンC誘導体
肌にとって非常に大切なビタミンCですが、普通ビタミンCそのものは角質層のバリアを突破することができず、皮膚に浸透することができません。
また非常に不安定なため、化粧品に入れてもすぐに酸化されてしまい、「効果があるのに使えない」という研究者泣かせの成分でした。それを解決しようと生み出されたのが、ビタミンC誘導体です。
ビタミンC誘導体とは、ピュアなビタミンCを化学修飾することで、化粧品として使いやすくしたものです。
また肌への浸透も良く、中には油に溶けやすいものもあり、クリームなどのような油性の化粧品に配合することもできるようになりました。
しかし、誘導体にしたことで、もとのビタミンCの2~8倍という大きさになってしまいました。そのため、ビタミンC誘導体の濃度は実際のビタミンCの濃度に計算し直すとかなり低くなってしまいます。たとえば、
ピュアビタミンC10%の化粧品ビタミンC誘導体10%の化粧品
の2つを比べると、ピュアビタミンC10%の化粧品の方が、たくさんのビタミンCが含まれていることになるのです。
【3】ビタミンCの肌に対する効果
1.メラニン色素の合成を抑制し、できてしまったメラニン色素を薄くします。シミやニキビ跡の色素沈着を目立たなくし、色素沈着のしにくい肌へ。
2.コラーゲンの生成を助けます。肌のハリを保ち、内側からピンとした弾力のある肌づくりを助けます。お肌を内側からなめらかに整えていきます。
3.抗酸化作用があります。活性酸素を防ぐことで、老化やトラブルから、肌を守ります。肌の新陳代謝を整えます。
4.肌のターンオーバーを正常化し、くすみのない明るい肌色へと導きます。
このように、美肌にとって嬉しい効果がたくさんあります。毎日の食事からはもちろん、スキンケアにも取り入れて、健康で透明感のある美しい肌を手に入れたいですね。
『カルノシン』
【1】酸化を防ぐ
カルノシンとは、β-アラニンとヒスチジンから成るジペプチドです。ジペプチドとは、アミノ酸が2つくっついたものです。カルノシンには、L-カルノシンとD-カルノシンが存在しますが、天然のものはすべてL-カルノシンです。ヒトなどの哺乳類では、筋肉や神経組織にたくさんあります。
馬が速く走れる、渡り鳥が長時間飛び続ける、マグロがものすごいスピードで回遊できるのは、カルノシンが筋肉運動などで生まれる酸化物質を除去したり、疲労を和らげるからだと考えられています。
【2】糖化を防ぐ
2012年にカルノシンを2ヶ月服用すると、シワなど肌のエイジングの改善につながったという研究結果が報告されました。このようにカルノシンには、アンチエイジングや抗疲労の効果が期待できることから、サプリメントや化粧品での効果が期待されるようになっています。<参照文献>J Dermatolog Treat 345-84, 2012
■線維芽細胞成長の活性化
カルノシンは、ヒトの真皮線維芽細胞において老化を防止するはたらきが確認されています。<参考>*A possible new role for the anti-ageing peptide carnosine
『DMAE』
最先端の美肌科学では話題のDMAE。アメリカではカリスマ皮膚科医と言われているニコラス・ペリコーン博士がDMAEに注目していて、自身の開発している化粧品にも多く配合されています。ペリコーン博士はDMAEについて、強力な抗炎症作用を持っており、加齢による皮膚の弾力低下を防ぐ役割があると説明しています。
【1】顔の筋肉を引き締め、リフトアップ・小顔効果
加齢による筋肉の衰え、これは加齢によって筋肉の収縮をコントロールする神経伝達物質、アセチルコリンの量が減少したために起こります。DMAEはこのアセチルコリンの前駆体で、アセチルコリンの生成をサポートしてくれる物質です。
正式名称をジメチルアミノエタノールと言います。
【2】血行促進作用
血行を促進させることで肌の細胞に栄養が行き渡り、健康的な肌色になるほか、むくみやくすみの改善にも繋がります。
【3】抗酸化作用
DMAEは高い抗酸化作用を持ち、老化を促進させる活性酸素から細胞膜を保護し、丈夫にする働きがあります。DMAEは加齢に負けない肌を作るには欠かせない成分です。
『フラーレン』
とても強力な抗酸化力を持った成分で、体内の活性酸素を除去し、無害化する働きがあります。活性酸素とはストレスや環境汚染、紫外線などの影響により発生するものであり、肌老化の大きな原因にもなるものです。
活性酸素を除去することができれば、それだけ若々しい肌に近づくことができます。その働きは美容業界でも非常に注目されており、フラーレンを発見した方はノーベル化学賞を受賞しているほどです。
〈 期待できる美容効果 〉
【1】最も大きな効果は、抗酸化力によるシワの改善、毛穴の改善、肌のバリア機能の改善などです。美容に良い栄養素としてビタミンCが有名ですが、フラーレンの抗酸化力はビタミンCよりもはるかに高く、美肌作りに役立ってくれます。
【2】高い美白効果が期待できるのもポイントです。紫外線を浴びるとメラニンと呼ばれる色素が分泌されて肌が黒くなりますが、フラーレンを取り入れるとこのメラニンの生産量が減少し、メラニンが原因でできるシミの予防効果も期待できます。シミやくすみがなく、ハリのある肌を目指したいと考えている方にとっても注目の成分です。